細見谷をラムサール条約登録地に(連続学習会・第1回)

投稿日:2018年6月26日 更新日:

以下、整備中です。

**はじめに [#m47a5200]

2003年03月01日(土)、EIKO
細見谷をラムサール条約登録地に
(連続学習会、第1回)

廿日市市中央公民館3階集会室、14:00~
主催:廿日市・自然を考える会
協力:宮島自然史研究会

プログラム:
・細見谷の自然(哺乳類を中心に)、金井塚 務(宮島自然史研究会)
・ラムサール条約から見た細見谷の渓流と渓畔林、花輪 伸一(WWFジャパン)

ラムサール条約は、例えば釧路湿原(タンチョウヅル)のように鳥を保護するための条約ではなかったのか、西中国山地の細見谷(渓畔林-水辺林)と果たして関係があるのだろうか。条約でいう湿地(ウェットランド)ということであれば関係有りそうだが、それが細見谷とどの様に結びつくのだろうか。疑問と期待を抱きながら会に参加する。

結論から先に述べておこう。ただしこの結論の部分は、後日(3月3日)主催者および主催者を通じて間接的に金井塚務さん(あるいは中根周歩さん)の補講を受けたものをさらにまとめたもので、その全てを私自身の力で勉強会当日に学び取ったものではないことをお断りしておきます。

特に、”細見谷をラムサール条約登録地に” という運動は、次に述べるように、ラムサール条約の質の格上げにつながるような、世界を視野に入れた地域活動であるという点についてきちんと感受できていなかったように思います。

ラムサール条約(正式名称:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)の根本理念は、「湿地(ウェットランド、wet land)における生物多様性の保全」とその「賢明な利用(ワイズユース、wise use)」にある。

条約では ”生態系の自然特性を変化させない方法で、人間のために湿地を持続的に利用すること” を求めている。ここで今までの登録地(湿地)をみると、湿原、干潟、あるいは湖沼などに限られており、細見谷のような渓畔林(水辺林)の登録は未だ世界的に前例がない。

細見谷の条約登録は、「湿地の保全と賢い利用」について、新たな具体的事例を世界に先駆けて示すものになるだろう。それは細見谷にとっての利益であるばかりでなく、条約の理念と概念の拡大、すなわちラムサール条約そのものの価値を高めるという大きなメリットを持っており、非常に意義のあること、やりがいのあること、面白いことであると考える。

以下、勉強会のまとめである。インターネット情報も加味しながらまとめてみた。(注:上記補講を受ける前のものである)

ラムサール条約の正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」である。1971年にラムサール(イランのカスピ海沿岸)という小さな町で採択された条約で、特定の生態系を扱う地球規模の環境条約としては唯一のものである。

日本は1980年に条約締約国となっており、その際に登録された釧路湿原(北海道)を始め国内では現在13ヶ所の地域が登録されている(世界の締約国133ヶ国、登録地1229ヶ所)。2002年11月現在。

日本の上記登録地を見ると、湿原、干潟あるいは湖沼など、”特に水鳥の生息地・・・”という条約の正式名称に当てはまるものばかりである。しかしながら、細見谷の渓畔林はそのような条件に当てはまるとは思えない。

そのような場所でなぜラムサール条約なのか? 演題その一は、アイデアの発案者、金井塚務さんである。最近では、研究対象を宮島から西中国山地へ広げていらっしゃるようである。湿地(ウェットランド、wet land)としての細見谷(渓畔林-水辺林)の生物多様性について、種の多様性と共に年代別の多様性(老木と若木が入り混じっている)にも見るべき点があることを強調した。

これを受けて花輪伸一さんは、湿地(ウェットランド)そのものの重要性から解説を始めた。例えば、ある一定の広さの干潟における浄化能力を、下水処理場建設費用(および維持費)と比較検討することが可能だという。干潟を潰して他の用途に供することは多くの人にとって必ずしも有利な方法ではない。

ラムサール条約でいう湿地とは、その地域(生物地理区域内)を代表するような自然度の高い湿地(ウェットランド)そのものである。今までの登録地を見ると、確かに鳥に関する地域が圧倒的に多いが、それは条約の成立過程において渡り鳥の保護を目的としていた為であり、現在ではあまり鳥にこだわる必要はないという。

花輪さんは、ラムサール条約登録地の基準(国際的に重要な湿地の基準)を一つ一つ”細見谷”に当てはめながら、登録に値する地域であるとの判断を示した。

さて、ラムサール条約では、湿地の保護をうたっているだけではない。賢明な利用(ワイズ・ユース、wise use)が求められている。生態系の自然特性を変化させない方法で、人間のために湿地を持続的に利用すること、ができなければいけない。

条約登録のメリット、ディメリットについて、利用者のみならず地元地域住民、利害関係者にとって納得のいく説明が求められる。その基礎資料として学術調査による裏付けが必要となるだろう。それらを広報することによって地域住民の合意を得ることが最も大切である。そこから行政へ国へとはねあげることによって国内法による湿地保全の担保が得られたとき初めてラムサール条約登録に向けて条件が整うことになる。以上、花輪伸一さんのお話であった。

今日3月1日は新・廿日市市(廿日市市に佐伯町、吉和村編入)誕生の日である。新しい地域住民の手によって、”細見谷をラムサール条約の登録地に”を実現させるための確実な第一歩が踏み出された。

追伸:
花輪伸一さんは当日飛行機で羽田から広島へ来られた。飛行機の到着が約2時間遅れたため演題の順番が金井塚務さんと入れ替わることになった。飛行機が遅れた原因は、羽田出発そのものが遅れたからである。

当日午前7時ころ、国土交通省・東京航空交通管制部(東京ACC、埼玉県所沢市)のコンピュータシステムが2系統ともダウンして全国の空港を出発する航空機が約20分間全く離陸できなくなった影響によるものである。

コンピュタダウンの原因は、防衛庁の航空機飛行計画を国交省の管制システムに取りこむプログラムを修正する作業によって発生した障害であるという。自然社会と対極にあるコンピュータ社会の脆弱性を見る思いがする事件である。

<細見谷をラムサール条約登録地に>

吉和 細見谷をラムサール条約の登録地に!
第1回学習会のご案内

細見谷を知っていますか?

 吉和村の奥深く、中国山地のなかに奇跡のように残る珠玉の自然…、それが細見谷です。太田川最上流部の深い渓谷をさらにのぼると、やがて谷は浅くなり、山々から湧き出す水の恵みを受けた美しい渓畔林(水辺林)が広がります。渓畔林は様々な生物の暮らしの場となり、水を浄化し、山と川の間の水みちを守る優れた働きを持ちますが、中でもここの渓畔林は西南日本随一の規模と言われています。中国山地の自然がむかしの力を失った今も、細見谷の渓畔林は数々の動植物の暮らしを守り、太田川の水質・水量を支え、私たちに自然の豊かさ・偉大さを教えてくれています。

ラムサール条約を知っていますか?

 ウェットランド(湿地)を保全するための国際条約で、ウェットランド(湿原・干潟・湖・河川・海岸の外縁部など)の機能、すなわち、水の浄化作用・水系の流量調節作用・多種多様な生物を育む働きなどへの世界的な認識の高まりを背景に、1971年イランのラムサールという小さな町で採択されました。日本では、「釧路湿原」「伊豆沼・内沼」「クッチャロ湖」「ウトナイ湖」「霧多布湿原」「厚岸湖・別寒辺牛湿原」「谷津干潟」「片野鴻池」「琵琶湖」「佐潟」「漫湖」「藤前干潟」「宮島沼」が指定登録地となっていますが、細見谷もまたラムサール条約の理念にふさわしい保全するべきウェットランドであり、登録地指定に向けての学習・検討を進めたい、と私たちは考えています。

学習会「細見谷をラムサール条約の登録地に!」に参加してください

 ここ数十年、ヒトも自然の一部であることを忘れた人為が自然を荒廃させ、ヒトが生きる環境をも急速に劣化させました。その現実のもとで、私たちは、ヒトが生き続けるためにどう自然に向き合ったらよいかを模索しなければなりません。学習会「細見谷をラムサール条約の登録地に!」の開催は、そのささやかな試みの一つです。多数の皆さまの参加をお待ちしています。

と き  3月1日(土)午後2時~
ところ  廿日市 中央公民館 集会室(3F)(地図→裏面)
講 師  花輪 伸一(WWFジャパン)
      金井塚 務(宮島自然史研究会)
テーマ  ラムサール条約と細見谷
参加費  500円(会場費・資料代など)

主催 廿日市・自然を考える会  協力 宮島自然史研究会
問合・申込先 高木(Tel/Fax 0829-39-6655)網本(Tel/Fax 0829-39-2033)

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