シンポジウム:本音で話そう、細見谷渓畔林と緑資源幹線林道(十方山林道)

投稿日:2018年6月26日 更新日:

以下、整備中です。

2005年10月02日(日)、単独
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(YMCAコンベンションホール)

**はじめに [#ie37e894]

2005年10月02日(日)、単独
シンポジウム:本音で話そう
細見谷渓畔林と緑資源幹線林道(十方山林道)

シンポジウム:本音で話そう「細見谷渓畔林と緑資源幹線林道(十方山林道)」

日時:2005年10月02日13時~17時
場所:YMCAコンベンションホール (広島市中区八丁堀7-11)
基調講演:
河野昭一(京都大学名誉教授)
金井塚務(広島フィールドミュージアム会長)
堀啓子(森と水と土を考える会会員)
資料代:500円
主催:細見谷保全ネットワーク

主催者の細見谷保全ネットワークが当初計画していたのは、緑資源機構をはじめ賛成派も含めたシンポジウムの開催であった。しかし、当日それらの人たちの出席を得ることができず、まずは上記3氏の基調講演からスタートした。

基調講演後フリーディスカッションとなり、今すぐ具体的にやるべきこと、できることについて活発な意見交換を行う。会の雰囲気は、今週の10月7日(金)に環境保全調査検討委員会(第8回)が開かれ、何らかの結論が出される可能性があるという中で、終始緊張感あふれたものとなった。(以下、講演あるいはディスカッションの要旨ではありません。自分自身の理解のため書き加えた部分があります。)

河野昭一先生の講演は、世界ブナ・サミットin只見(2005年7月2日~3日、福島県)の話から始まった。先生ご自身がコーディネーターを務めた会議で、国内外のブナ専門家7名が一同に会したシンポジウムが行われ (出席者300名)、翌日の現地観察会には地元の子ども達30人を含む150人が参加したそうだ。

インターネットによると、只見町には青森・秋田県境にある白神山地(約1万6000ヘクタール)を上回る約4万ヘクタールの原生的なブナ林があり、一昨年には世界自然遺産の国内候補の一つに挙げられている。

そのような地で、地元の人たちも参加する世界的な規模のシンポジウムが開かれ、そして次代を担う子供たちが、身近にある豊かな自然に接する機会を得たことの意義は非常に大きい。

河野先生は、環境の変化は短期間の観察では分からないと強調された。だからこそ、科学的な基礎データをこつこつと積み上げていく地道な作業が必要となってくる。そうした研究成果の一端として、”ブナ集団の遺伝構造分析”について少し詳しく解説された。

ブナは風媒花だ。同一個体に雄花、雌花を持っているが、開花時期が少しずれる仕組みになっており、自家受粉はしない。それでは、ブナの花粉はどれくらいの範囲に飛散するかといえば、ほとんどは親木から約30m、最も遠くてせいぜい70~80mだという。したがって、ブナ集団がこの程度の幅をもって分断されると、隣の集団と遺伝子の交換をすることがむつかしくなる。

ブナ集団が分断されて集団サイズが小さくなると、遺伝子の組み合わせが単純化して、遺伝子の多様性が急激に失われる。それは、やがて絶滅につながるこ とを意味する。各地の大小ブナ集団について、各種酵素タンパクのアロザイム多型(血液型のようなもの)を1本1本の木ごとに分析した結果は、そのことをはっきりと示している。

こうした事実は、細見谷渓畔林にも当然当てはめることができる。今までに世界各地で起こった現象は、条件を同じにすれば(集団の分断化、あるいは通過車両の増加による排気ガス濃度の上昇など)、細見谷渓畔林にも同じ結果をもたらすと考えるのが妥当なところだ。それが科学というものだ。

続いて金井塚務さんのお話だ。今年も台風がきた。二軒小屋まで開通済の大規模林道部分で何箇所かの崩落があった。起こるべき場所に起こっているという。渓畔林部分での崩落は3箇所あり、いずれも渓畔林より上部の植林帯から落ち込んできたものだ。既存の十方山林道(未舗装)はすでに自然と一体化しており、こうした負荷に耐えられる強い道路となっている。

未舗装の林道上の水溜りでは、夏になるとミヤマカラスアゲハが多数集まって吸水活動をしている。水溜りの水量が多いときには、ゴギがこの林道上を通ることもあるという。ここはまさに湿地帯なのだ。

もし舗装化によって水温が上昇すれば、それがたとえわずかなものであったとしても、環境に与える影響ははかりしれないものがあるだろう。一つ一つの要因ごとに考えれば、環境への影響を直接把握できない場合もある。しかし、その小さな要因が積み重なって大きな結果となって跳ね返ってくるのだ。

細見谷渓畔林は生物多様性に富んだ魅力のある地域だ。動植物の中には、未調査のままになっている種が数多く存在している。それらを含めて、ある種が絶滅するということは、生物多様性のネットワークが一つづつ切れていくことを意味する。

クマを中心とした金井塚さんの動物生態調査は今も続けられている。そうした調査の過程で明らかになってきたことに加えて、細見谷へのカラスの侵入やオシドリが繁殖している事実など数多くの話題が提供された。

3番手は堀啓子さん。薬学部で生薬学を専攻した薬剤師さんだ。桑原良敏(「西中国山地」溪水社1997年復刻版著者)の広島山稜会会員でもある。吉和で開かれた河野昭一京大名誉教授講演会(2002年05月26日)、その翌日の十方山林道植物調査(2002年05月27日)あたりから現地で本格的な植物調査を行っている。

河野名誉教授の研究グループの一員として、米澤信道教諭(京都市)がその後もしばしば現地入りして調査を行ってきた。堀さんはその都度同行してお手伝いをしている。今日は、ここのところ体調をくずして出席できない米澤先生の代役として登場したという。

10年ぶりに人前で話をするので緊張しているということであったが、なかなかどうしてりっぱなものであった。何といっても使用したOHP原稿の写真は、最近自分自身で調査したときの写真ばかりだ。話しにもつい熱が入ろうというものだ。

堀さんは今、大規模林道の新設予定箇所にもっとも注目している。設計図を詳細に検討したところ、新設部分は渓畔林を削り取る形で建設されることが分かったという。ところが、そこには太い太いツル性植物が巻きついた大木が林立している。今まで人の手が入ったことのない自然がそこにある。

緑資源機構は巨樹は切らないといっているが、それぞれの木ごとにりっぱな番号札(連番のようだ)が打ち込まれており、工事着工の手はずはすでに完了したようだ。新設部分の問題点は、地盤が脆弱なことによる崩落の危険性ばかりではなかったのだ。

堀さんは、細見谷周辺を「細見谷周辺森林生態系保護地域」に指定することを求めている。現在ある十方山林道を部分補修し、未舗装のまま残し、一般車通行止めの「緑の回廊(自然研究路)」として整備されることこそ、持続可能な地域活性化になる、という提言である。

上記の提言(「細見谷周辺森林生態系保護地域」指定のお願い)は、翌月曜日には、貴重な植物写真と共に緑資源機構に届けられ、各検討委員にも参考資料として目を通してもらえるはずである。 (7日金曜日、第8回検討委員会開催予定)

三人の講演を受けてフリーディスカッションに入る。皆の思いは何とか工事着工をストップして欲しいということだ。それに対して、堀さんは上記のような具体的提言(文書で配布)を行った。すなわち、細見谷渓畔林には、白神山地のブナ林、屋久島のヤマグルマ群落やヤクスギ原生林と同等の価値がある。したがって、最高ランクの森林群落として保護すべきである、というのだ。そうなるともちろん工事はできない。

地域の利益はどうなるのか。それには、既存(未舗装)林道の活用方法を工夫することで、持続的な地域活性化になる、としている。細見谷渓畔林を破壊する可能性のある工事を中止して、逆に細見谷渓畔林をうまく活用していく方法を考えることが、 長い目で見れば結局は地元の利益につながる、と主張しているのだ。

吉和地区には、広島県で最も人気の高い山である吉和冠山がある。その他、いわゆる里山が周りを取り囲んでいる。十方山・細見谷渓畔林を核としたほんとうの意味でのエコツーリズムを実現させるのに最適な地域と考えられる(金井塚さん)。もちろん、指導員の育成・雇用など地元経済に及ぼす波及効果も大きいはずだ。それにしても、地元の人たちに地元の魅力を再認識してもらうための工夫が求められている。

時代の潮流は、経済一辺倒からその他の何かを求める方向に変わってきている。豊かさとは何か。もう一度立ち止まって考えてみたい。工事を一時凍結という形ででもストップして、立場を超えた真剣な討論を望みたい。そのための基礎データ として、「細見谷と十方山林道」(2002年刊)のパート2をぜひ作成する必要がある。

自然とは、祖先から譲り受けたものではなく、子孫からの預かりものである。次世代への確実な資産の継承こそ現代人の務めというものであろう。

—–

シンポジウム
本音で話そう 「細見谷渓畔林と緑資源幹線林道(十方山林道)」
日時:2005年10月02日13時~17時
場所:YMCAコンベンションホール (広島市中区八丁堀7-11)
TEL:082-227-6816

基調講演:
河野昭一 (京都大学名誉教授)
金井塚務(広島フィールドミュージアム代表)
意見交換:
ご出席頂いた方々 (松本大輔議員も参加予定)
資料代:500円
主催:NPO細見谷保全ネットワーク
連絡先
原戸祥次郎 大喜
広島市西区観音本町1-17-17
TEL.FAX 082-293-6531
harato@eos.ocn.ne.jp

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