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費用対効果、1.02(細見谷林道問題)

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林野公共事業の評価結果及び実施方針(平成18年度)

廿日市市では、戸河内・吉和区間の経緯(廿日市市ホームページ内、緑資源幹線林道事業 戸河内・吉和区間)No.13で、次のような文章を掲載しています。「緑資源」幹線林道事業期中評価委員会の議事録を基にしたものでしょう。

〈必要性〉

大朝・鹿野線周辺は、豊富な森林資源を有し、間伐等保育を必要とする林分が多いこと、また、広島県、山口県等地元関係者からの早期完成の要望が強いことから、事業の必要性が認められる。

〈効率性〉

コスト縮減に努めているほか、現在着手中の区間について費用対効果分析を試行した結果、費用以上の効果が見込まれることから、事業の効率性が認められる。

総便益(B)13,918,000,000円、総費用(C)13,640,000,000円

分析結果(B/C) 1.02

〈有効性〉

森林整備の促進、林業・林産業の振興のほか、ワサビ栽培等地域産業の振興及び地域住民の生活道、災害時の迂回路、観光施設へのアクセス道としての機能が期待されることから、事業の有効性が認められる。

〈事業の実施方針〉

(1)吉和側、二軒小屋側の拡幅部分については、環境保全に配慮しつつ工事を進めることとし、

(2)渓畔林部分及び新設部分については、地元の学識経験者等の意見を聴取しつつ引き続き環境調査等を実施して環境保全対策を検討した後、改めて当該部分の取り扱いを緑資源幹線林道事業期中評価委員会に諮った上で決定することとする。

費用対効果分析結果、1.02

ここでは特に、「費用対効果」分析試行結果について考えてみることにしましょう。

緑資源幹線林道の「戸河内・吉和区間」では、136億4千万円の費用をかけて、139億1千8百万円の効果が得られるとしている(費用対効果1.02)。費用を効果がたとえわずかでも上回っているので、工事をするメリットはあるというわけです。しかし、裏を返せば、要するに費用対効果はトントンだ、と言っているにすぎません。

林野庁では、「公共事業における事前評価マニュアル」(平成12年度)を作成しており、期中評価の費用対効果分析(事前評価)については、このマニュアルを準用しています。そして、緑資源幹線林道の期中評価自体は路線全体で評価するが、費用対効果(B/C)は区間ごとに試算する。その算出方法は、総便益を総費用で割って求める、となっています。

便益としては、次の8つがあげられています。

・木材生産等便益
・森林整備経費縮減等便益
・一般交通便益
・森林の総合利用便益
・災害等軽減便益
・維持管理費縮減便益
・山村環境整備便益
・その他の便益

たとえば、戸河内・吉和区間(戸河内~吉和西)では、”森林の総合利用便益”の数字が他区間に比べて非常に大きくなっています。区間の一部(城根~二軒小屋工事区間)完成によって、恐羅漢山スキー場へ九州から大型バスが入ることができるようになったためです。

事務局の説明では、今までのスキー場利用実績である年間8万人に対して、九州からの大型観光バス255台(昨年実績)分の推定利用者8千人が増加したためとしています。

その他、便益の考え方では一般的には受け入れがたい算定方法がとられています。投資額を便益として見込むことが行われているのです。たとえば、”その他の便益”の中に、通行安全確保便益という項目があり、ガードレールやカーブミラーなどの安全施設の設置に関する投資分を、走行安全が確保できる便益として認めています。

こうしたこともあって、通常はB/Cの値1.5前後をもって、はじめて便益が費用を上回るとされているようです。

戸河内・吉和区間(二つの工事区間あり)の費用対効果は1.02であり、その数字は区間全体を平均したものです。そこで、もしも完成部分(城根~二軒小屋工事区間)の方が未完成部分(二軒小屋~吉和西工事区間)よりも便益が高いならば、未完成部分すなわち十方山林道(細見谷林道)整備計画の便益は、区間平均1.02を割り込んで、マイナスになる可能性も出てきます。

費用対効果(B/C)の算定を、よりきめ細かく「工事区間」単位で実施すべきと考えます。さらには、渓畔林部分と新設部分に限った費用対効果を算定したらどうなるのでしょうか。ぜひとも算定結果を知りたいものです。

注:このページは、電子書籍『細見谷渓畔林と十方山林道』アマゾンKindle版(2017年3月6日)の一部です。

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