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2003年(平成15)の活動記録

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『細見谷と十方山林道(2002年版)』出版の意義
- 日本生態学会要望書(事業中止および渓畔林保全を求める)
提出など -

**西中国山地ブナの森づくり [#geb9b250]

***久しぶりに新たな植林を行う [#lac745b1]

(有)村上造林(村上弘社長)の社有林で、村上さんの意向により、スギを伐採した跡地に広葉樹を植えることになりました。

久しぶりの新たな植林(4/20)です。トチやミズナラなど240~50本の苗木を用意しましたが、折からの雨で、昼すぎに苗木を100本ほど残して作業を終了しました。今回の植林は、崇徳高校(広島市西区楠木町)の生徒さん数名と森水の会8名程度で行いました。

猪山では今年も地元の方々と交流会を実施しました。当日夜はバーベキュー大会で盛り上がり、翌日は植林地の下草刈りで汗を流しました。

吉和の苗畑では、最後の手入れの日に”いも煮会”を催しました。

**学術調査報告書「細見谷と十方山林道(2002年版)」出版の意義 [#b58f3b9c]

***林野庁、環境省に直接出かける [#n3f28441]

「細見谷と十方山林道(2002年版)」は実際には年が明けてから完成しました。さっそく本書を掲げて林野庁、環境省との交渉(東京にて)に臨みました(1/27)。それに対して、林野庁整備課から「森と水と土を考える会」宛てに回答があったのは春先(3/31)のことです。

その回答は、「・・・これらの調査の実施に当たっては、調査予定日時等を公団があらかじめ公表したうえで実施いたしますので、現地においてご助言等いただければ幸いです。・・・公団では、何らかの調査データをいただくことができるのであれば、それを参考にしつつ調査結果を取りまとめたいとしています」とするなど、非常にていねいなものとなっています。

この学術調査報告書によって、私たち”民”が”官”と対等の立場で「細見谷と十方山林道」を考えることができるようになったのです。

***シンポジウム開催と細見谷保全ネットワーク結成 [#x81f7386]

今年は二つのシンポジウムが開催されました。「細見谷と十方山林道(2002年版)」発刊記念シンポジウム(2/2)と、シンポジウム「廿日市の宝 - 細見谷」(8/16)です。これらのシンポジウムには、「細見谷と十方山林道」に関わっている主な関係者が数多く登壇しました。そして、その問題点と将来の展望について改めて語り合いました。

これらのシンポジウムを機に、細見谷の保全を目指すNGOが「細見谷保全ネットワーク」を結成しました。構成メンバーは、「廿日市・自然を考える会」、「森と水と土を考える会」、「広島フィールドミュージアム」および「細見谷流域研究者グループ」の四者で、事務局長は原哲之・森水の会会員です。

***日本生態学会の要望書提出 [#f9b235a3]

日本生態学会(第50回大会総会)から、「細見谷渓畔林(西中国山地国定公園)を縦貫する大規模林道事業の中止および同渓畔林の保全措置を求める要望書」(2003年3月23日付け)が提出されました。提出先(提出日)は、廿日市市長(5/8)、環境大臣・農林水産大臣(5/12)、広島県知事・緑資源公団(5/28)です。

同要望書は、「いかなる種類の舗装工事」にも反対する立場を取った上で、結語において「以下の3点を要望する」としています。

1.二軒小屋・吉和西工事区間の事業の中止。
2.細見谷地域における地質・生物の公開調査を行うこと。その際、住民・専門家・環境NGO等との合同調査とすること。
3.細見谷地域の国有林の厳格な保全措置を講じ、水源林・水辺林管理の新たなモデル地区とすること。

なお、学会をあげてこの様な要望書が提出されることは極めて異例のことと思われます。
***署名提出と林野庁、環境省の反応 [#b7a5cd85]

年末には「細見谷の保全と大規模林道の中止を求める署名」(39,032筆)を林野庁と環境省に提出(12/25)しました。場所は、衆議院議員会館第三会議室(東京)で、国会議員数名に立ち会っていただきました。中国新聞記事(2003年12月27日付け)、西広島タイムス(2004年1月19日付け)

引き続き行われた話し合いでの回答は、
-渓畔林部分は、原則として拡幅しない
-ただし、舗装はする(どの様な舗装方法がよいのか検討中)
となっています。

多少、その態度に変化が見えてきたようにも感じられます。

**現地調査の継続と啓蒙活動 [#i6070406]

***植物調査の継続 [#x553c9cf]

2002年から開始した植物調査は、その後、私たちの会のシンボル的行事となっていきます。私たちは、雪解け早春から春・夏・秋と季節ごとに十方山林道に通い続けました。

このように、年間を通して観察を続けることには大きな意義があります。例えば、花や葉を見ないと同定のむつかしい植物があったりするからです。

こうして私たちは、10m×10mのロープを張る群落調査からはじめて、数多くの種を同定してきました。なかにはいくつもの絶滅危惧種が含まれており、広島県初、西日本初あるいは分布の日本西南限と考えられる種、さらには、新種の可能性が示唆される種もあります。

私たちの調査は、間違いなく旧・公団(のち独立行政法人緑資源機構)側の不足部分を補完するものとなっています。

なお、今年の調査は、4/27、5/24,25、8/17,18の3回実施しており、いずれも専門家の指導のもとに行っています。

なお初年度(2002年)の調査成果は、「細見谷と十方山林道(2002年版)」におさめられています。さらに、その後の調査を踏まえて、後に堀啓子「十方山林道周辺の植物」(『峠』No.43:89-96、広島山稜会(2007.3.31))が公表されることになります。
(注:峠は、”たお”と読みます)

***WWFジャパンの助成(100万円)決定 [#qa9672a1]

十方山林道植物調査のため、昨年WWFJ(世界自然保護基金ジャパン)へ助成を申請しましたが却下されました。今年11月、同じ内容(200万円)で再度提出したところ、100万円で決定されました。

***現地観察会(エコツーリズム)の開催など [#eba589b9]

「細見谷をラムサール条約登録地に」をテーマとした一般向けの学習会が、連続3回シリーズ(3/1、4/26、6/29)で行われました。最後の1回は、現地学習会(主として地質関連)として行われました。同様の現地学習会は、(11/2,3)にも行われています。また、細見谷現地観察会(エコツーリズム)も実施されました(5/3~5、1日コースを3日間実施)。

このような学習会や観察会は、「大規模林道化が阻止された後に、地道(未舗装)として残った十方山林道を使って何をどうするのか」を考えるときの一つの回答を示すものといえるでしょう。

なお年末(12/6)には、松本大輔衆議院議員(広島二区)が十方山林道を視察しました。
参照:細見谷渓畔林をラムサール条約登録地に
山本明正著「細見谷渓畔林と十方山林道」P.101-5

**2003年年表 [#vf667d89]

-1月26日(日)、森と水と土を考える会、総会
午前中「森水の12年を語ろう」、昼食(お弁当)後、総会行事
(広島市西区地域福祉センター、広島市西区福島町)
-1月27日(月)、林野庁、環境省との交渉(東京にて)
原戸祥次郎会長、原哲之会員、谷田二三(吉和の自然を考える会・代表)/中村敦夫参議院議員、河野昭一(京大名誉教授)、加藤彰紀(大規模林道問題全国ネットワーク事務局長)ほかの各氏
-2月2日(日)、学術調査報告書「細見谷と十方山林道(2002年版)」発行記念シンポジウム、「水源の森・細見谷を次の世代へ - 自然とは祖先から譲り受けたものではなく、子孫からの預かりものである -」
基調講演/田中幾太郎さん「生命の森 - 西中国山地」
報告/森と水と土を考える会、古川耕三さん(日本地質学会会員、森水の会会員)、中根周歩さん(広島大学大学院教授)、金井塚務さん(宮島自然史研究会会長)、パネルディスカッション「細見谷を次の世代へ」/金井塚務、田中幾太郎、中根周歩の各氏(司会、森と水と土を考える会)
主催/森と水と土を考える会、後援/吉和の自然を考える会
(広島市まちづくり市民交流プラザ、広島市中区袋町)
-3月1日(土)、細見谷をラムサール条約登録地に(連続学習会、第1回)
プログラム/金井塚務(宮島自然史研究会)「細見谷の自然(哺乳類を中心に)」、花輪伸一(WWFジャパン)「ラムサール条約から見た細見谷の渓流と渓畔林」
主催/廿日市・自然を考える会、協力/宮島自然史研究会
(廿日市市中央公民館、広島県廿日市市天神)
-3月1日(土)、広島県吉和村、広島県廿日市市と合併(廿日市市吉和となる)
-3月23日(日)、細見谷渓畔林(西中国山地国定公園)を縦貫する大規模林道事業の中止および同渓畔林の保全措置を求める要望書、提出/日本生態学会(第50回大会総会)
-3月31日(月)、林野庁整備課から、本年1月27日の申し入れに対する回答(31日付)
-4月20日(日)、西中国山地ブナの森づくり(広葉樹の植林)
(吉和もみの木森林公園付近)
-4月26日(土)、細見谷をラムサール条約登録地に(連続学習会、第2回)
プログラム/金井塚務(広島フィールドミュージアム会長)「細見谷におけるフィールドミュージアム構想」、中根周歩(広島大学大学院教授)「森林生態学から見た細見谷の渓畔林と林道の舗装化」
主催/廿日市・自然を考える会、協力/広島フィールドミュージアム(旧宮島自然史研究会)、吉和の自然を考える会
(廿日市市中央公民館、広島県廿日市市天神)
-4月27日(日)、植物調査(雪解け春一番の十方山林道)
指導/桑田健吾・武子ご夫妻(広島県三良坂町在住)
-5月3~5日(土~月)、細見谷現地観察会(エコツーリズム)
1日コースを3日間実施、広島フィールドミュージアム会長・金井塚務、同副会長・杉島洋の各氏
主催/廿日市・自然を考える会、協力/広島フィールドミュージアム
-5月24,25日(土・日)、春の植物群落調査(十方山林道)
指導/米澤信道(京都から)、桑田健吾の各氏
-6月8日(日)、アースデイかがわin豊島
-6月14,15日(土・日)、大規模林道問題全国集会(第11回)、山形県長井市
主催/葉山の自然を守る会、大規模林道問題全国ネットワーク
-6月21,22日(土・日)、環瀬戸内海会議総会(第14回)、兵庫県明石市
-6月29日(日)、細見谷をラムサール条約登録地に(連続学習会、第3回)、現地観察会(主として地質関連)
講師/宮本隆實(広島大学助教授、地質学)、古川耕三(地質学会会員)の各氏
主催/廿日市・自然を考える会、協力/広島フィールドミュージアム
-7月30日(水)、関太郎(広島大学名誉教授)も細見谷渓畔林部分の林道舗装化に反対(同日付回答書)
-8月2,3日(土・日)、猪山交流会
2日夜バーベキュー大会、3日植林地の下草刈り
-8月16日(土)、シンポジウム「廿日市の宝 - 細見谷」
Section1)廿日市の宝 - 細見谷
概説/金井塚務「暖温帯・瀬戸内から冷温帯・本州最西端のブナ帯へ - 世界的にも珍しいこの地域の特徴 -」
講演/河野昭一「世界の森から細見谷渓畔林を見る」
報告/米澤信道「細見谷渓畔林の特徴 -現地調査から-」
Section2)大規模林道を造るとどうなる?
問題提起/原哲之「細見谷に大規模林道は必要だろうか?」
講演/原敬一「山形県・葉山 -現地からの報告-」
Section3)自然を壊さずに地域が生きる方法
報告/安渓遊地「「流域の思想」を生きる -各地の事例から」
Section4)パネルディスカッション・細見谷の未来へ
パネラー/河野昭一、原敬一、金井塚務、中根周歩、豊原源太郎、高木恭代、コーディネーター/安渓遊地、その他/ノーディン・ハッサン国際自然保護連合生態系保全副委員長(マレーシアの動物学者)
最後に、提言(メッセージ)採択 
主催/廿日市・自然を考える会、吉和の自然を考える会
協力/広島フィールドミュージアム、森と水と土を考える会
(はつかいち文化ホールさくらぴあ、広島県廿日市市下平良)
-8月17,18日(日・月)、夏の植物調査(十方山林道)
指導/河野昭一、米澤信道の各氏
-8月24日(日)、広島県佐伯郡沖美町(現・江田島市沖美町)で立ち木トラスト開始(大きな産廃処分場)
-8月31日(日)、吉和の苗畑管理、中津谷上流の植林地下草刈り
-9月28日(日)、植物調査(十方山林道のシダ類を中心として)
指導/松村雅文さん
-11月2,3日(土・日)、十方山林道・生き物・地質、現地学習会
渓畔林/金井塚務(広島フィールドミュージアム会長)、杉島洋(同副会長)、大規模林道と細見谷の地質/宮本隆實(広島大学大学院理学研究科、2日のみ)
主催/広島フィールドミュージアム、森と水と土を考える会、細見谷保全ネットワーク
-11月23日(日)、いも煮会(本格・山形流)、吉和苗畑にて
今年最後の苗畑手入れ
-12月6日(土)、松本大輔衆議院議員(広島二区)、十方山林道視察
衆議院議員選挙(11月9日投票日)前に立候補予定者5名(広島二区)への公開質問状提出、同議員はそれに回答、当選後現地視察を行う
主催/細見谷保全ネットワーク
-12月22日(月)、豊島の石井亨さん(香川県議)の話を聞く会
森水会員10名程度(中国新聞記者1名参加)、##場所は?##
-12月25日(木)、林野庁および環境省へ申し入れ
細見谷の保全と大規模林道の中止を求める署名(39,032筆)提出
主催/細見谷保全ネットワーク

***その他資料など [#n605a09a]

-中国新聞記事(2003年5月9日付け)
大規模林道の中止を要望、廿日市市に研究者ら(日本生態学会)
注:5月12日には林野庁にも行き、中止を求める
-中国新聞記事(2003年5月12日付け)
田上公一郎さん、林道整備 時代に逆行
-中国新聞記事(2003年9月8日付け)
堀啓子さん、山で出会った植物のHPを作っている
地球と人間 共生願う
-中国新聞「緑地帯」(2003年12月3日付け)
森田修さん、平郡島だより(1)出会い
##続いて、金井塚さんも執筆?##

-西村保夫著「山毛欅(ぶな)の森の詩」
自費出版(通信販売)2003年

手記?山根富士義、2003年7月10日号、P.3
北米ネイティブの言葉
「自然とは祖先からの授かりものではなく、子孫からの預かりものである」

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